介護福祉士試験対策

介護福祉士の試験を受けるための実務経験ルートの詳細とは?

2022年7月24日

スタッフ

「介護職の国家資格である介護福祉士は、専門学校に行かなくても取れるって聞きました。介護の仕事をしたら受験資格がもらえて、試験に合格したら取れるって。受験資格が取得できる条件ってどのようなものなんですか?」

「介護福祉士の資格取得には、4つのルートがあって、そのうちの1つに実務経験ルートがあります。実務経験ルートは、介護職として働くことで要件が満たせ、介護福祉士の試験に挑戦できるようになります。今回はその実務経験ルートの詳細について勉強しましょうか」

施設長
こんな疑問を解決します

この記事の内容

介護福祉士試験を実務経験ルートで受験するための要件について書いています

こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上従事し、現在は講師として複数の学校で介護福祉士試験の対策講座などを担当しています。

さて、介護福祉士を取得するにあたっては、4つのルートがあります。そのうち、介護職として働くことで受験資格が得られ、試験に合格することで取得できる「実務経験ルート」が設けられていて、多くの方がこのルートで介護福祉士を取得しています。

では、実務経験ルートで介護福祉士の試験を受けるには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。

それは、介護職として3年以上の実務経験、そのうち540日以上の実働日数、加えて実務者研修を修了することとなっています。

というわけで、今回は実務経験ルートで介護福祉士試験を受験するための要件について解説します。

介護福祉士の試験を受けるための実務経験ルートの詳細とは?

施設長

「では、実務経験ルートの詳細について見ていきましょう。

受験するための要件に加えてクリアする期限もおさえておいてくださいね」

「要件をクリアする期限ですか?わかりました・・・」

スタッフ

実務経験ルートで受験するためにクリアが必要な要件

実務経験ルートで介護福祉士試験を受験するためには、次の要件をすべて満たす必要があります。

必要な要件

  • 介護等の業務の従業期間3年(1,095日)以上
  • 従事日数540日以上
  • 実務者研修修了

上記2つが実務経験の部分になります。

従業期間と従業日数について

従業期間については、介護職等として施設や事業所に在職している期間です。在職期間している期間なので、その途中で産休や育休、病休があったとしても、その期間も従業期間に含まれます

従業日数は、在職期間に実際に業務に従事した日数です。ですから、公休などの休みや、研修などで介護業務に従事しなかった日は除きます

ただし、勤務時間の定めはなく、8時間働こうが4時間であろうが、また訪問介護の登録ヘルパーで1時間しか働かないとしても、労働時間に関係なく1日は1日とカウントされます。

なお、実務経験を満たす期限ですが、試験がある年度末までとなっています。つまり、介護福祉士試験の申し込み期限や、試験当日までに満たせていなくても、試験のある3月31日までに満たす見込みがあれば受験できるということです。

その場合は「実務経験見込み証明書」を提出し、実際に満たした後にあらためて「実務経験証明書」を提出することになります。

「実務経験証明書」は、複数の事業所での経験を合算することができます。証明書は就業していた事業所それぞれで記載してもらう必要があります。

実務者研修について

実務者研修の修了ですが、平成28年度の試験から必須となりました。介護福祉士を受験するためには、試験のある年度末までに実務者研修を修了する必要があります。(コロナ禍の影響が出るまでは12月31日までに修了することが要件でした。コロナがおさまれば戻る可能性があります)

旧の制度で介護職員基礎研修を修了している人は、喀痰吸引等研修を修了することで実務者研修の修了と同等の扱いになります。なぜなら、実務者研修の前身が介護職員基礎研修だからです。

実務者研修などの修了には1〜6ヶ月ぐらいかかります。期限に間に合うように、早めに受講しておきましょう。

実務経験の対象となる職種

次に、実務経験に含まれる職種について見ていきましょう。実務経験に含まれる条件としては「主たる業務が介護等である者」です。

ですから、介護の業務をしていれば別ですが、介護の施設や事業所で働いていれば必ず実務経験として扱われるわけではないというところに注意が必要ですね。

たとえば、相談員などの相談業務に従事している場合は、介護職としての実務経験には入りません。

また、実際に介護の仕事をしていても、他の業務と兼務している場合は、辞令等によって明確になっていないと実務経験として認められない場合があります。就業先にきちんと確認しておきましょう。

実務経験の対象にならないケースについては、次の章で取り上げます。

さて、実務経験として扱われる仕事については、大きく5つの分野に分かれます。

実務経験となる分野

  • 児童分野:障害児者等施設・事業所の保育士や介助員、看護補助者、看護助手など
  • 障害者分野:障害者支援施設・事業所の介護職員、介助員、寮母、生活支援員・指導員・世話人など
  • 高齢者分野:高齢者施設・事業所の介護職員、介護従事者、介護従業者、介助員、支援員、看護補助者、看護助手など
  • その他の分野:病院や診療所の介護職員、看護補助者、看護助手、救護施設や更生施設の介護職員、介助員など
  • 介護等の便宜を供与する分野

それぞれの分野の詳細については、リンク先「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」で確認してください。

対象とならない職種

次に、実務経験の対象にならない職種についても確認しておきましょう。

「人員配置基準」「運営要綱」等に示された、主たる業務が介護等の業務と認められない職種であったり、主たる業務が介護等の業務でないことが明確な職種については実務経験になりません。具体的には次のような職種です。

実務経験にならない職種

  • 生活相談員、支援相談員などの相談援助業務を行う職種
  • 医師、看護師、准看護師
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの機能訓練担当職員(当該業務を補助する方を含む)
  • 心理指導担当職員、作業指導員、職業指導員、就労支援員
  • 事務員、介護支援専門員、調理員、栄養士、計画作成担当者、福祉用具専門相談員
  • 警備員、運転手、用務員、清掃員、あん摩マッサージ指圧師など

介護職などと兼務している場合、「主たる業務が介護等の業務である場合に限り」対象となります。繰り返しになりますが、証明には辞令等が必要になるので就労先の事業所に確認するようにしてください。

介護福祉士の試験を受けるための実務経験ルートの詳細とは?:まとめ

スタッフ

「かなり細かく規定されているんですね。ちょっとびっくりしました」

「そうなんですよ。まぁ、基本的に高齢者、障害者の施設や事業所で介護職等ををしている人は当てはまりますが、障害児の支援であったり、他の職種と兼務をしている方なんかは注意が必要ですね。就業先にきちんと確認を取っておいてください」

施設長

この記事のまとめ

  • 実務経験ルートで取得するためには、3つの要件をすべて満たす必要がある
  • 実務経験ルートの要件を満たす期限は、試験がある年度末までで可
  • 実務経験と認められるかどうか、規定をしっかりとおさえておくこと

なお、介護福祉士試験を独学で突破したい!という方は介護福祉士試験は独学で突破できる!その方法とはをご覧ください。

ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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