介護の知識・技術

介護職のおしゃれはどこまで可能?施設長経験者が解説します

2022年8月26日

スタッフ

「介護職は身だしなみが大切っていいますよね。でも、女性としてはおしゃれも楽しみたいなぁって思うところもあります。介護職の業務中のおしゃれってどこまで許されるんですか?」

「介護の仕事は、利用者さんを傷つけないように、また、清潔感や信頼感を感じてもらうために、身だしなみを大切にしています。一方で、働く人にとっては、その中でもできるおしゃれを楽しみたい、という気持ちもありますよね。今回は、介護職でおしゃれはどこまで許されるのかについて見ていきましょう」

施設長

こんな疑問を解決します

この記事の内容

介護職のおしゃれはどこまで許されるのか?アクセサリーは?ネイルは?髪の毛の色は?などについて書いています

こんにちは、せいじです。

介護業界に20年以上携わり、介護付き有料老人ホームなどの施設長経験者です。

現在は介護の研修の講師やコンサルタントの仕事をしています。

さて、介護職は身だしなみを大切にしなければならない仕事です。

指輪やピアスなどの装飾品をつけていると、身体を密着して介護する場面で、介護される人を傷つけてしまう恐れがあるからです。

また、清潔感のある服装でないと、介護を受ける人は抵抗を感じるでしょう。

とはいえ、介護職としてもおしゃれを楽しみたい、と思う人が少なからずいるのも事実ですよね。

実際に、介護職は普段のおしゃれも制限されるので辞める、といった人も知っています。

介護職におしゃれはどこまで許されるのでしょうか。

結論から言うと、利用者、そして介護職が傷ついてしまう恐れのあるアクセサリー類は原則禁止になります。

しかし、髪の色や髪型、ひげなどについては、以前ほど厳しく規定されなくなっています。

おしゃれ染め程度の髪色であれば、許される職場がほとんどです。

ということで、今回は、介護老人保健施設や介護付き有料老人ホーム、デイサービスなどの在宅サービスの管理職を経験し、スタッフの身だしなみをチェックしていた私が、介護職のおしゃれはどこまで許されるのか、について解説していきます。

介護職のおしゃれはどこまで可能?施設長経験者が解説します

では、介護職のおしゃれはどこまで許されるのか、について見ていきましょう。

アクセサリーは基本的に不可

介護職が、業務中にアクセサリーを身につけることは基本的に不可になります。なぜなら、介助する際に利用者を傷つけてしまう恐れがあるからです。また、介護職自身の身が傷つく恐れもあります

介護職は、高齢者の身体に直接触れたり、自分の身体を密着させて介助する場面が多くあります。

たとえば、介助の際に指輪をつけていると、触ったときに利用者の身体を傷つけてしまう危険がありますよね。

他にも、介護職が高齢者の身体を抱えるときは、顔も高齢者の身体に近づけます。ピアスをつけていると、高齢者に当たってしまうことがあります。

さらには、認知症などを患っていると、利用者がピアスやネックレスを引っ張る可能性もあり、介護職の身を傷つけることがあります。

ですから、アクセサリーをつけることは禁止されているんですね。

ただし、多くの施設は、結婚指輪のみ許可しているところが多いです。もちろん、高齢者の身体を傷つけるリスクが少ない形の指輪という前提になります。

髪型、髪の色はどこまでOK?

髪型は、介助の際に高齢者の顔にかからないような長さ、長い場合は束ねて介助の邪魔にならないようにします。

他には、清潔感があり、相手から信頼の得られる一般常識内の髪型、ということになります。

事業所によっては、ポニーテールにするのはダメといった、細かいルールが設定されていることもあります。

当然、モヒカンなどの奇抜な髪型はNGとなります。

髪の色については、昔は黒じゃないとダメ、というのが主流の考え方でした。

髪の毛を染めるのは、不良やヤンキーだというイメージがあったからです。

しかし、最近では年配の人でも、白髪を染めるのに茶色にしたり、少数ですが紫や緑色にする人もいます。

昔ほど茶髪のイメージが悪くなくなりました。ですから、茶髪程度であれば許されるようになっています。

ただし、明らかな金髪や、茶色以外の色、メッシュなどの奇抜な染め方については基本禁止となります。

化粧に制限はある?ネイルやマツエクなどは?

化粧についても、ナチュラルメイクが推奨されますね。

華美すぎると印象が悪くなるからです。

ですから、派手派手なメイクではなく、清潔感のある華美ではない化粧をするようにしてください。

化粧の他のおしゃれとしては、ネイルやまつ毛エクステがありますよね。これらについても、基本禁止となります。

なぜなら、外れてしまったときに、誤って高齢者が食べてしまうなどのリスクが考えられるからです。

ネイルは、介助の際に邪魔になりますし、高齢者の身体を傷つける恐れがあります。ですから、基本的に不可となります。

ただし、爪を磨いてきれいにするとか、まつ毛カール、眉毛を整えるといったことは、問題ありません

介護職に必要な服装、身だしなみは?

スタッフ

「安全面とか、清潔感、信頼感といったところで、やっぱり制限は多くありますね」

「そうですね。仕事の内容上、致し方ないですね。ここからは、逆に介護職に必要な身だしなみについて見ていきましょう。必要なポイントを押さえておくことで、おしゃれの幅が広がりますよ」

施設長

ここからは、介護職に必要な服装、身だしなみについておさえておきましょう。

介護職に必要な服装など身だしなみのポイントをまとめると、次のようになります。

介護職の身だしなみ

  • 介助をする際に安全
  • 動きやすい
  • 清潔感がある

上記のポイントを踏まえて、さらに細かく見ていきましょう。

ボタン、ベルトのない服装

繰り返しになりますが、介護職は、介助の際に高齢者を傷つける恐れのない服装をする必要があります。

ですから、上から下までボタンがあるようなシャツや、ファスナーがある上着は適しません。

ボタンやファスナーで利用者を傷つけてしまう恐れがあるからです。

なので、Tシャツやボタンの少ないポロシャツが適しています。

デイサービスや訪問介護の仕事は、屋外を移動する場面があります。

寒い季節については、トレーナーを着用するといいでしょう。

ただし、フードがついているパーカーは介護には向きません。

フードをどこかにひっかけてしまったり、利用者が引っ張ることによって介護職が怪我をする恐れがあるからです。

ズボンについては、チノパンやジャージを着用し、ベルトは使わないようにしてください

デニムについては、生地がかたいことと、ラフな印象があるために介護職の服装としては不適切としている事業所が多いです。

華美ではない服装

色や柄については、華美ではないものが適しています。

派手すぎると、清潔感や信頼感が損なわれてしまうからです。

ですから、Tシャツやトレーナーなどを着用する場合、プリントや色合いに注意するようにしてください。

理想的には無地のものやワンポイントのものがいいでしょう。

また、ドクロマークなどが描かれているようなものは避けるようにしてください。

利用者や家族の印象が悪くなるからです。

清潔感が重要

髪型、髪の色、化粧、服装など、総合的に重要なのは、清潔感があることです。

介護職は、高齢者の身体に密着したり、自宅に入っていく仕事になります。

清潔感のない人に介助されるのは抵抗を感じますよね。

ですから、清潔感を感じられる身だしなみを心がけましょう。

ところで、清潔感を保持するポイントとして、靴や靴下があります。

全体的に清潔感のある服装、身だしなみをしていても、靴が汚れていたり、ボロボロだったり、靴下に穴が空いていたりすると、すべて台無しになってしまいます。

おしゃれは足元から、という言葉がありますが、身だしなみも足元から、ということですね。

爪は短くきれいにしておく

介護職は、爪を常に短くきれいにしておく必要があります。

なぜなら、介助の際に爪で利用者を傷つけてしまう恐れがあるからです。

また、爪が長いと不衛生になります。

感染症の原因にもなるため、くれぐれも爪を短く切ることを忘れないでください。

介護職のおしゃれはどこまで可能?施設長経験者が解説します:まとめ

スタッフ

「介護職として、まずは利用者の安全、安心が優先ですね!おしゃれは仕事中はできる範囲で、あとはプライベートで楽しみます」

「プライベートの空間に入っていく仕事ですし、衛生面にも注意しなければならない仕事ですからね。おしゃれは楽しめる範囲で楽しんでくださいね」

施設長

この記事のまとめ

  • アクセサリーは原則禁止、ただし、結婚指輪はOKであることが多い
  • 髪の毛は高齢者の顔に当たらないように束ねる
  • 奇抜な髪型、色は禁止。茶髪程度はOK
  • ナチュラルメイク推奨
  • ネイルは禁止であるが、爪をきれいにするのは可
  • まつ毛カール、眉毛を整えるなどはOK
  • 派手な色、プリントがある衣服は避ける。無地もしくはワンポイントで

ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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