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ノーマライゼーションの生みの親、バンク–ミケルセンはどんな人?

スタッフ

「ノーマライゼーションの生みの親と呼ばれる、バンク–ミケルセンについて教えてください」

「バンク–ミケルセンですか。ノーマライゼーションを提唱したことから、ノーマライゼーションの生みの親と呼ばれていますね。では、今回は彼がどのようにノーマライゼーションという考え方に至ったのか、そしてどのような功績を残したのかについて見ていきましょう」

施設長
こんな疑問を解決します

この記事の内容

ノーマライゼーションの生みの親、バンク–ミケルセンが、どのようにしてノーマライゼーションという考え方に至ったのか、そして果たした功績について書いています

こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上従事し、現在は初任者研修、実務者研修など、介護関係の研修の講師をしています。

さて、福祉関係の事柄で、絶対に外せないのがノーマライゼーションの理念です。

特に現在の社会は、ノーマライゼーションが根底にあって作られていると言っても過言ではないでしょう。

ノーマライゼーションとは「あらゆる人が当たり前に生活できる社会、環境を作る」という理念です。

提唱したのは、バンク–ミケルセン。

というわけで、今回はバンク–ミケルセンについて詳しく解説します。

ノーマライゼーションの生みの親、バンク–ミケルセンはどんな人?

「NPO法人ノーマリゼーション奉仕団HPより」

では、ニルス・エリク・バンク–ミケルセン(N.E.Bank-Mikkelsem 1919-1990)について見ていきましょう。

バンク–ミケルセンは、ノーマライゼーションの提唱者で、デンマークの社会運動家、社会省の行政官です。

若い頃に、ナチスの強制収容所に収監されたことがあり、自由のない、衣食住すべてにおいて制限された生活を経験しました。

この経験が、後にノーマライゼーションを提唱するきっかけとなっています。

ノーマライゼーションとは、「あらゆる人が当たり前に生活できる社会、環境を作る」という理念です。

もう少し詳しくいうと、「障害のある人たちに、障害の人たちと同じ生活条件を作り出すこと。障害がある人を障害のない人と同じノーマルにすることではなく、人々が普通に生活している条件が障害者に対しノーマルであるようにすること。自分が障害者になったときにして欲しいことをすること」となります。

バンク–ミケルセンがノーマライゼーションに至った経緯

スタッフ

「バンク–ミケルセンはデンマークの人なんですね。しかもお偉いさん!そんな人がどうしてノーマライゼーションを提唱したんですか?」

「彼は自分の経験から、当時のデンマークでの知的障がい児者が置かれている状況を憂いだんです。そして、なんとか改善できるように!と具体的に行動を起こしたんですよ」

施設長

デンマークでの知的障害者の生活

バンク–ミケルセンがノーマライゼーションを提唱するに至ったのは、デンマークでの知的障がい者の生活に関係しています。

当時のデンマークでは、知的障がい者は大規模な施設に収容、隔離され、生涯を過ごすことになっていました。

そこでの生活は、外出する自由はなく、朝起きる時間、食事、そして寝る時間といった1日のスケジュールが施設によって決められ、集団生活の名の下に強制的に従って生活しなければなりませんでした。

若い頃に、ナチスの強制収容所に収監された経験を持っていたバンク–ミケルセンは、知的障がい者の施設での生活を「まるで、ナチスの強制収容所で生活しているようだ」と感じました。

そして、改善するべく行動を起こしたのです。

知的障害者の親の会との共闘

そもそも、バンク–ミケルセンが知的障がい者の生活に目を向けるようになったきっかけが、知的障害の親の会の活動です。

知的障害者の親の会は、知的障がい者の生活環境の改善を訴え、運動を起こしました。

その訴えに共感し、共闘したのがバンク–ミケルセンです。

バンク–ミケルセンは、国に対して、知的障がい者の生活環境を改善するよう、要請書を提出しました。

その要請書に盛り込まれたのがノーマライゼーションの理念であり、要請書のタイトルに「ノーマライゼーション」が使われたのです。

この訴えによって、1959年ノーマライゼーション法とも呼ばれる知的障害者福祉法が作られることになったのです。

そして、最初にノーマライゼーションを提唱したバンク–ミケルセンは、ノーマライゼーションの生みの親と呼ばれるようになりました。

ノーマライゼーションの生みの親、バンク–ミケルセンはどんな人?:まとめ

スタッフ

「なるほど。自身の経験と重ねて、知的障がい者の方の人権を守りたいという思いから、ノーマライゼーションは誕生したんですね」

「そうでうすね。その後ノーマライゼーションは、ベンクト・ニィリエによって国際的に広められていきます。ベンクト・ニィリエについては、また別の機会にお話ししますね」

施設長
高齢者介護においてのノーマライゼーションとは?

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この記事のまとめ

  • バンク–ミケルセンはノーマライゼーションの提唱者、ノーラライゼーションの生みの親と呼ばれる
  • ナチスの収容所に収監された経験をもとに、知的障がい者の生活の改善に取り組んだ
  • 知的障がい者の親の会と共闘し、国に要請書を提出、その後ノーマライゼーション法(知的障害者福祉法)につながった

ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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