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ノーマライゼーションの育ての親、ベンクト・ニィリエはどんな人?

2022年8月10日

スタッフ

「ベンクト・ニィリエについて教えてください」

「ベンクト・ニィリエは、ノーマライゼーションの育ての親と呼ばれている人物ですね。その名の通り、ノーマライゼーションを育てるように、体系化して国際的に広めた人です。今回は、そんなニィリエ氏がどんな人だったのか、そしてどんな功績を残したのかについて見ていきましょう」

施設長
こんな疑問を解決します

この記事の内容

ノーマライゼーションの育ての親、ベンクト・ニィリエとはどんな人物か、どのようにしてノーマライゼーションを広めていったのか、彼が残した功績について書いています

こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、現在は主に初任者研修や実務者研修、その他介護関係の研修の講師をしています。

さて、福祉に関するとても重要な考え方として、ノーマライゼーションがあります。

ノーマライゼーションとは「あらゆる人が当たり前に生活できる社会、環境を作る」という理念です。

そのノーマライゼーションを8つの理念にまとめ、国際的に広めたのがベンクト・ニィリエです。

というわけで、今回はニィリエとはどんな人物なのか、そして、どんな功績を遺したのかについて解説します。

ノーマライゼーションの育ての親、ベンクト・ニィリエはどんな人?

「amazonより」

では、ベンクト・ニィリエ(Bengt Nirje 1924-2006)について見ていきましょう。

ニィリエはスウェーデンに生まれ、知的障害児童・青少年・成人連盟(FUB)事務局長兼オンブズマンなど、スウェーデンの福祉関係の活動に従事し、後に日本の明治学院大学、名誉博士の学位も授与されています。

ニィリエは、ノーマライゼーションを整理して8つの原理にまとめ、国際的に広めた人物で、その功績からノーマライゼーションの育ての親と呼ばれています。

ベンクト・ニィリエがノーマライゼーションを広めた経緯

スタッフ

「ニィリエさんは、スウェーデンの人なんですね。あれ?ノーマライゼーションの提唱者であるバンク–ミケルセンさんはデンマークの人ですよね。どのようにつながっていくんですか?」

「ニィリエは、知的障害児童・青少年・成人連盟(FUB)事務局長兼オンブズマンをしていました。そこで、バンク–ミケルセンが提唱したノーマライゼーションに影響を受けたんです。では、次にニィリエがノーマライゼーションをどのように国際的に広げていったのかについて見ていきましょう」

施設長

ノーマライゼーションの体系化、成文化を実施

デンマークでバンク–ミケルセンによって提唱されたノーマライゼーションは、1959年知的障害者福祉法(ノーマライゼーション法)として制度化されました。

その影響はスウェーデンにも広がっていきます。

当時、知的障害児童・青少年・成人連盟(FUB)事務局長兼オンブズマンをしていたニィリエは、ノーマライゼーションの影響を強く受け、ノーマライゼーションの成文化、体系化に取り組むようになりました。

そして、ノーマライゼーションを8つの原理にまとめたのです。

成文化されたものは英語に翻訳され、国際的に広がっていくことになりました。

この功績から、ベンクト・ニィリエはノーマライゼーションの育ての親と呼ばれるようになりました。

ノーマライゼーションの8つの原理

ニィリエがまとめたノーマライゼーションの8つの原理がこちらです。

8つの原理

  1. 知的障害のみならずあらゆる障害のある人々がノーマルな1日を体験する権利がある。
  2. ノーマルな1週間のリズムを体験する権利がある。
  3. ノーマルな1年間のリズムを体験する権利がある。
  4. 子どもから大人になっていくという、ノーマルなライフサイクルを体験する権利がある。
  5. 自己決定権と、個人としてノーマルに尊厳を受ける権利がある。
  6. その人の住む社会の文化習慣に則ってノーマルな性的生活をする権利がある。
  7. その国におけるノーマルな経済的生活水準を得る権利がある。
  8. その人の住む社会におけるノーマルな住居・環境水準を得る権利がある。

ノーマライゼーションの育ての親、ベンクト・ニィリエはどんな人?:まとめ

スタッフ

「なるほど。提唱者であるバンク–ミケルセンがノーマライゼーションの生みの親、それに対して、国際的に広めることに貢献したベンクト・ニィリエをノーマライゼーションの育ての親と言うんですね。この2人のおかげで、どんな人でも当たり前に生活できる社会が構築されつつあるんですか。すばらしいことですね!」

「そうですね。そして、この2人によって生み出し、広められたノーマライゼーションは、アメリカに渡って新たな発展を遂げます。発展させたのはヴォルフ・ヴォルフェンスベルガーですね。この3人が、ノーマライゼーションを語る上で、主要な人物になります」

施設長
高齢者介護においてのノーマライゼーションとは?

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この記事のまとめ

  • ベンクト・ニィリエはノーマライゼーションを国際的に広めた、ノーマライゼーションの育ての親と呼ばれる
  • バンク–ミケルセンが提唱したノーマライゼーションに影響を受け、成文化、体系化した
  • ノーマライゼーションの8つの原理を作った

ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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