
「以前介護職をしていたんですけれど、家庭の事情でしばらく離れていました。介護職として復帰しようと思うのですが、その際に必要な準備や、気をつけておいた方がいいことってありますか?」
「しばらく現場から離れてしまうと、制度や介護技術が変わっていたり、現場でのやり方が変わっていたりしますものね。事前準備をしていた方が、困ることも少ないでしょう。そのあたりを見ていきましょう」

こんな悩みを解決します
この記事の内容
ブランクのある介護職が復職する際に必要な準備やおさえておくべきポイントについて書いています
こんにちは、せいじです。
介護の仕事を20年以上しており、現在は介護の研修の講師やコンサルタントの仕事をしています。
さて、いったん介護の仕事に就いていたけれど、事情によりやめてしまった人もいらっしゃるでしょう。
例えば、結婚や出産、引っ越し、介護とはちがう仕事に魅力を感じた、などといったところでしょうか。
そこから、改めて介護の仕事に復帰する場合、しておいた方が良い準備があります。
知識、技術の見直しであったり、体力作り、介護の最新情報を調べるなどです。
というわけで、今回はブランクのある介護職が、介護の仕事に復帰するにあたっておさえておかなければならないポイントについて解説します。
ブランクはどれぐらいマイナス?復帰は可能?

「ずいぶん介護職から離れてしまっているから、もう復帰は無理かなぁ」そんな声を聞くことがあります。
しばらく離れていると、以前と同じように働くのは無理じゃないか、いろいろ新しく変わってしまっているからついていけない、技術も知識も忘れてしまっていて、通用しないのでは?、そんな不安が頭をもたげてくるでしょう。
そして、どうせ面接を受けたところで、自分なんか採用されないだろう、そんなふうに思うかもしれません。
しかし、大丈夫です。ブランクは、あなたが思っているよりマイナスにならないからです。
介護業界は、慢性的な人不足に悩まされています。
介護労働安定センターが発表した、「令和2年度介護労働実態調査」によると、従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と答えた事業所は、60.8%にのぼります。
そして、不足している理由の1位が「採用が困難である」で86.6%になっているんですね。
多くの事業所が、喉から手が出るほど人を採用したがっているわけです。
ですから、たとえブランクがあっても、経験者として重宝されることはまちがいないでしょう。
介護業界にいるものとしても、あなたがもし介護職として復帰するか、他の仕事に就くかを悩んでいるのであれば、ぜひ介護の仕事を検討していただきたいところです。
ブランクのある介護職の復帰にあたってのポイント
では、ブランクのある介護職が、介護の仕事に復帰するにあたっておさえておくべきポイントについて見ていきましょう。
まとめると、次のようになります。
復職時おさえるべきポイント
- 以前の就業時に得た知識、技術を見直す
- 動ける身体を作る
- 介護業界の最新の情報を仕入れる
それぞれ掘り下げていきます。
以前の就業時に得た知識、技術を見返す
介護の仕事に復帰する前に、まずは以前働いていたときに得た知識や技術を再確認しておきましょう。
確認することで具体的に思い出すことができて、現場にスムーズに入りやすくなるからです。
たとえば、以前に働いていたときにとったメモや、まとめたノート、施設や事業所で開催された研修の資料などを確認しておいてください。
確認する中で、以前働いていたときの感覚がリアルに思い出されるようになるでしょう。
イメージを取り戻していけると、意外と記憶の中に知識や技術が残っていることに気づくはずです。
動ける身体を作る
介護の仕事をするためには、体力が必要です。
利用者の身体を支えたり、ベッドから車椅子に移すなどの移乗をしたり、また、大きな施設であれば、施設内を歩き回らなければならないからです。
ですから、それに耐えうる準備をする必要があります。
ウォーキングやジョギングで足腰を鍛え、腹筋や背筋をして腰を痛めないように準備しておきましょう。
可能であれば、ジムに通うのもいいかもしれません。
ただ、準備をしたとしても、最初のうちは腰に負担を感じるでしょう。
介護の仕事で使う筋肉は、介護の仕事でしか鍛えられない部分もあるからです。
準備をしても負担を感じるんだ、と不安に思うかもしれませんが、そのうち身体が適応していきます。
そして、以前のように働けるようになります。
そのためにも、事前にできることはやっておきましょう。
介護業界の最新の情報を仕入れる
以前の情報を振り返るいっぽうで、自分の持っている知識や情報をアップデートしておくことも必要です。
なぜなら、介護業界は、時間の流れと共に少しずつ変化しているからです。
制度的なところでいうと、介護保険は3年に1回制度の見直しがされます。
ですから、以前把握していた制度から変わっている可能性があるんですね。
また、介護の知識や技術についても、変わっているものがあるかもしれません。そういった情報をできるだけ集めておくことによって、介護の仕事に戻ったときに、変化に対応しやすくなります。
ブランク明けの職場選び

ここからは、ブランク明けの職場選びについて見ていきましょう。できれば、ブランクによるマイナスの影響が極力少ないところで働きたいですものね。
少しでも条件の良い職場を選ぶことができるよう、ポイントをおさえておいてください。
まとめると、次のようになります。
ブランク明けの職場選び
- 前に働いてた職場に復職する
- 自分の希望条件で働けるサービスを選ぶ
- 人材派遣を利用して働く
掘り下げていきます。
前に働いていた職場に復職する
まずは、以前働いていた職場に復職するパターンです。
一度働いているわけですから、復帰する際もスムーズに入りやすくなるからです。
また、雇う側も、あなたの能力を把握したうえでの雇用となります。
ですから、安心して雇えるわけですね。
以前の職場に不満があったり、退職する際に揉めたりしていないのであれば、最優先の選択肢になるでしょう。
特に、結婚や出産を期に退職した場合は、今の環境を理解してもらいやすいかもしれません。
自分の希望条件で働けるサービスを選ぶ
前述したように、結婚や出産、身内の介護などによって、仕事がある程度制限される場合、その条件に合った職場を選ぶことが重要になります。
仕事と家事、育児、介護を両立させていくためには、職場の理解が重要になってくるからです。
ですから、理解の深い職場を選ぶようにしてください。
たとえば、子供が小さいうちは、保育園に預けて仕事をしていても、急な体調不良で休まなければならなかったり、早退をする必要が出てきたりするケースが少なくありません。
また、介護においても、急変ですぐに帰らなければならないような状況が起こり得ます。
そのような状況でも、柔軟に対応してくれる職場がいいでしょう。
今は、大きな法人であれば、保育園を備えているところもあります。
同じ会社に保育園があれば、子供が体調をくずした場合でも、対応できる状況が整うまで待ってくれるといった柔軟さが得られやすいですし、早退する際に職場の理解も得られやすいでしょう。
なので、育児中の方は、保育園を備えている職場を選ぶのもポイントですね。
人材派遣を利用して働く
とはいえ、実際に働いてみないとわからないことが多いのも事実です。
ですから、人材派遣という形で働き、自分に合った職場を選ぶのもいいでしょう。
人材派遣であれば、直接雇用されるよりも、いろいろな職場を経験しやすくなります。
希望すれば、短期間で施設や事業所を移ることができるからです。
直接雇用で働くと、自分には合わないなと思っても、辞めるのが難しくなりますよね。
また、短期間で辞めてしまうと、履歴書が汚れてしまう、というデメリットもあります。
短期間での退職を繰り返していると、次の職場選びの際に確実にマイナスになってしまいます。
そういった意味でも、人材派遣を利用するのはメリットが大きいでしょう。
ブランク明けの面接のポイント

最後に、ブランク明けの面接でおさえておかなければならないことについて見ておきましょう。
ブランクの理由をきちんと伝える
ブランク明けというのは、特殊な状況になります。
面接官としては、なぜ介護職を離れていたのか、という点が引っかかってくるからです。
ですから、ブランクの理由をきちんと伝える必要があります。
たとえば、結婚や出産であれば特に問題になりませんが、他の仕事に転職していたり、仕事をしばらくしていなかったりした場合、面接官としては「なぜ?」という疑問が浮かんできます。
このときに避けるべき内容として、次のようになことがあります。
避けた方がいいブランク理由
- 人間関係のトラブル
- 法人や施設、事業所とのトラブル
人間関係のトラブルが原因になってくると、面接官にマイナスの印象をあたえることになります。
なぜなら、人間関係をうまくこなせない可能性がある、と思われてしまうからです。
仮に、そのトラブルが相手に原因があったとしても、面接の席で面接官に十分伝えることはできません。
ですから、たとえ人間関係のトラブルが退職理由であったとしても、2番手、3番手の理由を伝えるようにしてください。
また、法人、施設、事業所への不満で辞めた場合も、ストレートにそのことを伝えない方がいいでしょう。
会社の方針に沿って仕事ができない、というのは、マイナスになるからです。
こちらについても、他の理由を述べるようにしてください。
現在の条件をきちんと伝える
子育てや身内の介護に従事しながら働く場合は、自分の置かれている環境と、希望する条件を明確に伝えておきましょう。
働きはじめてから、双方の認識に食い違いが出ると、トラブルになってしまうからです。
ですから、仕事をする上でどのような条件があるかを、しっかりと共通認識にしておく必要があるのです。
ただし、自分の都合をすべて通す、という姿勢はよくありません。
ただのわがままの人、という印象になるからです。
ですから、譲れる条件、譲れない条件を整理し、ある程度柔軟さをもって対応できるようにしておきましょう。
ブランクがある介護職が復帰するためにおさえるべきポイントとは?:まとめ
ブランクがある介護職が、介護の仕事に復帰する際におさえておくべきポイントについて書きました。
ブランクがあったとしても、介護職の価値としてはほとんどマイナスになりません。
介護職としては、十分戦力になるからです。
本人は、不安かもしれませんが、すぐに感覚を取り戻せるはずです。
安心して、介護の仕事に戻ってきてください。
ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。