
「介護福祉士の試験問題に、「エンパワメント」と「ストレングス」という言葉が出てくるんですよね。この2つの違いを教えてほしいです。よくわからなくて・・・」
「エンパワメント、ストレングス、共に対人援助の仕事では必要な知識ですね。介護福祉士の試験でも出題されたことがあります。では、それぞれの意味と違いについて見ていきましょう」

こんな疑問を解決します
この記事の内容
エンパワメントとストレングスの違いについて書いています
こんにちは、せいじです。
介護業界に20年以上携わり、現在は講師として、初任者研修や実務者研修、介護福祉士筆記試験対策講座を担当しています。
さて、介護に必要な知識として、そして介護福祉士試験にも出題されたことの重要な語句として「エンパワメント」と「ストレングス」があります。
この2つの言葉の意味がごっちゃになってしまう人が多いようです。
かんたんにいうと、エンパワメントとは、本人が持っている力を発揮できるようにすること、そして、ストレングスは本人の長所、強みといったことになります。
というわけで、今回はエンパワメントとストレングスの違いについて開設します。
エンパワメントとは

エンパワメントとは、人の意欲や能力を引き出す関わりをいいます。
日本語に訳すと「能力開花」や「権限付与」という意味になります。
英語でエンパワーは「力(権限)をあたえる」という意味で、その言葉から派生してできたのがエンパワメントなのです。
エンパワメントは、なにかしらの理由で意欲が低下し、能力が発揮できなくなっている人に対して、意欲を高め、能力が発揮できるようにしていくことです。
たとえば、一般の企業では、意欲が低下し、能力が十分発揮されていない部下に対して、上司がエンパワメントします。
具体的には、自分の権限を委譲し、部下に決定権をあたえて仕事をさせることにより、部下の意欲の向上と成長を促すのです。
介護の現場でみると、介護サービスを受けている利用者は、衰えや病気、怪我によって介護が必要になったことで意欲が低下し、本当は持っている能力が発揮できない状態になっています。
介護職は、そんな利用者に対して、信頼を高めていくことで意欲、能力を発揮できるように支援していくのです。
なお、エンパワメントの詳細については、次の記事をご覧いただけたらと思います。
「なるほど、エンパワメントは関わり方になるわけですね!」

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【介護福祉士】エンパワメントとは?意味などをわかりやすく解説
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ストレングスとは

ストレングスとは、その人が持っている長所や強みのことです。
日本語に訳すと「力」「勢い」「勢力」という意味になります。
福祉の支援では、利用者の支援をする際、マイナス面、たとえば、その人がどんな障害を抱えているのか、それによってなにができないのか?、そしてどんな解除が必要か、に重きを置いて見ていました。
しかし、時代が移り変わり「できること」や「残っている力」、つまりその人の強みなどのプラス面に重きを置くという見方に変わりました。
この見方を、ストレングスモデルといいます。
実際の支援では、「できない」ことに重きを置くと見えてこない能力が、「できること」に重きを置くことで見えるようになり、利用者の持っているストレングスは実は大きい、ということがわかるようになります。
自立支援をする上では、非常に大切な視点と言えるでしょう。
「ふむふむ、その人の持っている力を指すってことか」

エンパワメントとストレングスの違いとは

エンパワメントとストレングスの違いをまとめると、エンパワメントは状態や環境、ストレングスは本人が持っている能力そのもの、を指すことになります。
援助する側としては、利用者はみなストレングスを持っているが、病気や障害などによって意欲、能力が低下し、発揮できない状態にあると捉えます。
そして、エンパワメントすることで、ストレングスも含めて能力が発揮できるようにしていく、ということになります。
エンパワメントとストレングスの違いをわかりやすく解説!:まとめ

「こうやってまとめて見てみると、はっきりと違いがありますね!」
「そうですね。ただ、密接に関連しているので、ごっちゃになってしまうことがあるのでしょう。しっかりと分けて理解しておいてください」

この記事のまとめ
- エンパワメント:環境や状況によって発揮できていない意欲、能力を発揮できるようにすること
- ストレングス:その人が持っている強み、長所のこと
- 高齢者や障害者の介護においては、利用者のストレングスをエンパワメントすることが求められる
ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。