
「訪問介護で働いているんですけど、利用者さんがなかなか増えません。どうやったら利用者さんを獲得できるんですかね?」
「俗にいう、営業ってやつですね。訪問介護で利用者を獲得するためには、まず知ってもらうってことが重要です。だれに?なにを?そんなところを踏まえて見ていきましょうか」

こんな疑問を解決します
この記事の内容
訪問介護で利用者を獲得するためのコツについて書いています
こんにちは、せいじです。
介護業界に20年以上携わり、これまで訪問介護を含め、介護事業の利用者獲得の営業に15年ほど関わってきました。
もちろん、実際に営業をしていた時代もあります。
さらに、居宅のケアマネジャーとして、営業をされる立場も経験しています(現在進行形)
さて、訪問介護事業所を運営している、もしくは利用者獲得の担当になっているけれど、なかなか思うようにいかない、と悩んでいる人もいるでしょう。
訪問介護の営業は、一般の営業と違ってアピールするところが特殊になります。
なぜなら、サービス内容、料金は、どの訪問介護事業所も同じだからです。
では、どのようなところをアピールしていけばいいでしょうか。
そして、そもそもだれに、どこに営業すればいいでしょうか。
というわけで、今回は訪問介護で利用者を獲得する方法について解説します。
訪問介護の営業はどこにすればいいの?

訪問介護では、まず知ってもらうことが重要です。
では、どこに知ってもらえば、利用者獲得につながるのでしょうか。

「お客さんとなる、地域住民の方々に知ってもらったらいいんですよね!」
「そこも否定しませんが、利用者の大半はケアマネジャーを通して訪問介護を利用するため、ケアマネジャーに知ってもらうことがなにより重要なんです」

営業先と優先順位
訪問介護の営業先になるところは、次の場所です。
重要度が高い順に書いていきます。
訪問介護の営業先
- 居宅介護支援事業所:利用者にサービスを提案するケアマネジャーが所属しているところ。どの事業所を使うかは、ほとんどケアマネジャーにかかっているため、最優先の営業相手になる。
- 地域包括支援センター:ケアマネジャーと同様、利用者に訪問介護の事業所を提案する立場。地域包括支援センターの場合は、介護予防、つまり要支援者へのサービス依頼となる。
- 住宅型有料老人ホームなど:施設を住居としている高齢者に対して、訪問介護を提供するため、外部事業所に依頼する場合がある。自法人から訪問介護を提供するところが多いが、そうでないところは狙い目。
- 病院:地域医療連携室のソーシャルワーカーから、退院予定の患者に訪問介護の事業所が紹介される場合がある。
- 訪問介護事業所:同業者。自事業所がいっぱいだったり、担当できない案件の場合に、紹介してくれることがる。
- 地域住民:事業所の地域に住んでいる人から、ケアマネジャーを通さずに直接相談が入るケースがある。
最優先の営業先は、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所になります。
居宅介護支援事業所の中での優先順位
ただ、居宅介護支援事業の中でも優先順位があります。
たとえば、居宅介護支援事業所と同じ法人に訪問介護事業所がある場合、優先的に自法人の事業所に利用者を依頼します。
ですから、自法人に訪問介護事業所を持たない居宅介護支援事業所の方が、営業の優先順位が高くなります。
また、ケアマネジャーは、利用者を支援する中で、だいたい2〜3の事業所に依頼先をしぼっていきます。
その方が、仕事が円滑に進むからです。
長年やっている居宅介護支援事業所だと、がっちりと依頼先が固定されている可能性があります。
なので、開設間もない居宅介護支援事業所の方が優先順位が高くなります。
訪問介護の営業方法は?


「営業先はわかりました!ただ、方法がわかりません。どうやって営業したらいいんですかね?」
「そうですね、次は営業方法について見ていきましょう」

営業方法
- FAX営業
- 電話営業
- 訪問営業
- 郵送営業
- ポスティング
- 自治会でパンフレットなどを配ってもらう
- お店にパンフレットなどを置いてもらう
- 行政の窓口にパンフレットなどを置いてもらう
- HPやSNSの活用
FAX営業
FAXを使って、チラシやパンフレットを送付する方法です。
メリットとデメリットをまとめておきます。
メリット
- 手間がかからない
- 送付物次第でコストパフォーマンスが高くなる
- 相手が必要なときに見ることができる
デメリット
- 他にまぎれてあまり見てもらえない
- すぐに捨てられる
- 顔が見えない
デメリットをまとめると、印象に残りにくく、下手すると見ないで捨てられる可能性があることです。
しかし、送付するものや、送付時間を工夫することで解消できます。
たとえば、ツールについては、スタッフの顔写真を載せる工夫をしましょう。
そうすることで、他とは違ったチラシになりますし、顔を見ることで印象に残りやすくなります。
そして、送付する時間帯ですが、月曜日の朝は、週末に届いたFAXが大量にあるため、目に留まりにくくなります。
ですから、平日の朝一番に目が止まるよう送付するのです。
だいたい、出勤してすぐに届いたFAXを確認する事業所が多いです。
事務所の営業が始まる時間帯を狙ってFAXしてください。
電話営業
電話営業では、電話で事業所の紹介をすることがメインではなく、パンフレットやチラシを持っていくためのアポどりで行います。
もちろん、この段階で断られる可能性もありますし、事業所のポストに入れておいてください、とあしらわれることもありますが、それでも、飛び込みで営業するよりは、ケアマネとしてはありがたいです。
アポを取ってから、訪問するようにしてください。
訪問営業
訪問営業では、唯一あなたの人間性を相手にアピールできるチャンスになります。
この人と仕事がしたいな、と思ってもらえるようにしましょう。
特に訪問介護は、サービスや料金でアピールすることがむずかしいです。
他との棲み分けがむずかしい分、「すぐに対応してくれそう」「少々の無理でも聞いてくれそう」というのが、選ばれる理由のひとつになります。
郵送営業
チラシやパンフレットを郵送で送る営業です。
FAXよりも相手へのアピールは大きいでしょう。
ただし、居宅介護支援事業所には日々郵送物が届くため、FAXと同様他に紛れてしまうこともあります。
また、FAXのように手軽に見ることができないため、相手の手を煩わせてしまうというデメリットもあります。
さらに、郵送の方がコストもかかります。
一方で、ケアマネジャーは、訪問介護事業所を利用者に提案する際、パンフレットなどの資料がある方が紹介しやすいです。
資料は、FAXよりも、カラーのチラシの方が印象は良くなります。
それらを踏まえると、FAXを中心に送りつつ、半年に1回ほど郵送で送る、という感じでいいでしょう。
ポスティング
近隣住民の方に直接アピールする方法としては、チラシやパンフレットのポスティングがあります。
業者に頼んで大量に配布する、という方法もありますが、コストがかかります。
サービスとサービスの間の時間を使って、訪問介護員が利用者宅周辺の家にポスティングしていくことで、コストをおさえることができます。
利用につながった場合、利用者が同じ地域にかたまることになり、訪問の効率もよくなります。
自治会でパンフレットなどを配ってもらう
地域の人にアピールするにあたっては、自治会の回覧板などで回してもらう、という方法もあります。
自治会があるところでは、定期的に回覧板が回されています。
その回覧板で、パンフレットを回してもらうのです。
また、定期的に行っている集まりで、パンフレットを配布してもらうのもいいでしょう。
自治会長に相談することで、協力してもらえる可能性があります。
お店にパンフレットなどを置いてもらう
事業所の周辺のお店に、チラシを貼らせてもらったり、パンフレットを置いてもらう方法です。
主に、高齢者を抱える家族に、お店を利用したときにアピールする目的で行います。
お店が協力してくれるのか不安に感じる人もいるかもしれませんが、介護は社会的に関心の高いものになっています。
協力しても、基本的に店側にデメリットになりません。
ですから、無下に断られることは少ないです。
全国展開しているチェーン店などはむずかしいかもしれませんが、個人店などは快く受け入れてくれるところが少なくありません。
市町村や公的な建物の窓口にパンフレットなどを置いてもらう
市町村によっては、介護関係の窓口周辺にパンフレットを置かせてくれるところがあります。
地域包括支援センターも同じくです。
その他、公民館や自治会館などに置いてもらえる可能性もあります。
HPやSNSの活用
今はインターネットの時代です。
ですから、HPやSNSの活用が欠かせません。
チラシやパンフレットを見たときに、多くの人がインターネットで検索するでしょう。
ですから、HP、SNSを用意するようにしてください。
ただし、訪問介護ではTwitterやInstagramについてはそぐわないかもしれません。
なぜなら、日々更新するほどネタがないからです。
たとえば、デイサービスであれば、毎日のレクリエーションやイベントごとなどを発信することで、アピールすることができます。
しかし、訪問介護の性質上、そのような発信はしにくいですね。
なので、HPを用意する形でいいでしょう。
訪問介護のアピールポイントとNG行為


「営業先や営業ツールについてはわかりました。あとは、その営業でどのようなところをアピールしたらいいのか。また、してはいけないことなんかを知りたいです。」
「アピールポイントについては、訪問介護は介護保険によって料金やサービス内容が決まっています。ですから、それ以外のところでアピールしなければなりません。たとえば、自費サービスの部分ですね。その他、どんなヘルパーさんがきてくれるのかを伝えることもアピールになります。NGと合わせて見ていきましょう」

アピールポイント
訪問介護のアピールポイントとしては、次のようなところになります。
アピールポイント
- 自費サービスの内容や料金
- 訪問介護員の紹介
- 迅速な対応や臨機応変さ
介護保険でサービス内容や料金が定められている訪問介護では、他との違いをアピールできる部分が少ないです。
その中でも、自費サービスは、その事業所の特色を出せる部分と言えるでしょう。
自費サービスとは、介護保険ではできない部分を、介護保険を使わずに利用できるサービスです。
各事業所がそれぞれに内容と料金設定をしています。
大抵は、普段介護保険で利用している訪問介護事業所に依頼するケースが多いですが、他ではやっていないサービスを設定することによって、自費サービスからケアマネジャーとの関係を作ることができます。
他には、チラシに訪問介護員の写真を掲載するとアピール度が高くなります。
なぜなら、利用する側としては、どんな人が来てくれるのか、具体的にわかったほうが安心感を持つことができますし、親近感も湧くからです。
ケアマネジャーの立場としては、依頼すれば迅速に、そして臨機応変に対応してくれる事業所が重宝します。
急にサービスが必要になるケースもありますからね。
ですので、そのようなアピールをすると、ケアマネジャーにささりやすくなるでしょう。
NG行為
営業のNG行為としては、同じ情報を持って、頻繁に訪問したり、電話をしたりすることです。
ケアマネジャーとしては、迷惑でしかありません。
また、飛び込み営業も、あまりうれしくありません。
急に予定外の対応が入るのは、多くの人にとってストレスになりますからね。
もちろん、顔を合わせる機会が多い方が、その人に親近感が湧きやすいという効果はありますが、それでもただ来られるだけではマイナスの印象にしかなりません。
電話や訪問を何度もするのであれば、相手にプラスになるものを用意した上で行くようにしましょう。
それがむずかしいようであれば、FAXやパンフレットの郵送でアピールするのに留めておいてください。
訪問介護事業所の営業のコツを紹介します【獲得間違いなし!】:まとめ

「よしっ!これで明日からバリバリ利用者獲得がんばります!」
「電話をしたり、訪問に回る場合は、慣れも大切です。ですから、まずは優先順位の低いところからはじめて、自身がついてきてから優先順位の高いところに手をつけていく、という方法もありですよ。頑張ってください!」

ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。