
「訪問介護って、どんなサービスなんですか?どうやったら利用できるのか、費用はどれぐらいかかるのかも含めて、詳しく知りたいです」
「自宅で生活する要介護高齢者にとっては、訪問介護が支援の中心になりますね。詳しく説明しますね。」

こんな疑問を解決します
この記事の内容
訪問介護がどんなサービスか、また利用方法や料金について書いています。
こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、以前は訪問介護の管理者をしていました。
現在も、訪問介護事業所の運営コンサルタントをしています。
さて、介護が必要な高齢者の、自宅での生活を支援してくれる介護保険のサービスとして「訪問介護」があります。
名前ぐらいは聞いたことがある人という人は多いと思いますが、実際にどんなサービスか詳しく知らない、という人もいるのではないでしょうか。
訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、主に家の中で食事、排泄、入浴、着替えなどの支援を提供する「身体介護」や、調理、掃除、洗濯などの支援を提供する「生活援助」、そして通院等の支援をしてくれる「通院等乗降介助」からなります。
というわけで、今回は訪問介護とはどんなサービスか、利用方法や費用などについて詳しく解説します。
訪問介護とは?

では、訪問介護とはどんなサービスかについて見ていきましょう。
訪問介護とは、訪問介護員が自宅を訪問し、必要な介護を提供してくれるサービスです。
直接身体に触れて行う「身体介護」と、日常生活の家事を支援してくれる「生活援助」、通院の支援をしてくれる「通院等乗降介助」の3つのサービスを受けることができます。
詳しく見ていきましょう。
訪問介護を実施する介護職はどんな人
訪問介護で家に来てくれる人を、一般的にホームヘルパーや、ヘルパーと呼ぶ傾向がありますが、正式名称は訪問介護員になります。
訪問介護員は、原則として介護の資格を保持した者しかできません。
訪問介護員に必要な資格
- 生活援助従事者研修(生活援助のみ提供可能)
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
この他、旧制度の「ホームヘルパー1級」「ホームヘルパー2級」「介護職員基礎研修」でも、訪問介護員としてサービスを提供することが可能です。
施設などでは、現在のところ資格がなくても介護職をすることができますが、訪問介護員は、利用者により家の環境が違ったり、単独で訪問してサービスを提供しなければならないといった特性から、より高い専門性が求められるということで、有資格者じゃないとサービスが提供できないようになっているのです。
「利用する側も、資格を持っている介護職さんが来てくれることで、安心感がありますね!」

訪問介護で受けられるサービス
次に、具体的にどのようなサービスを受けられるのかについて見ていきましょう。
身体介護
身体介護とは、訪問介護員が、利用者の身体に直接触れて実施するサービスです。
身体介護の内容
- 食事介助:食事を食べるなどの支援
- 排泄介助:トイレの介助やおむつ交換など
- 入浴介助:浴室での入浴、シャワー浴、手浴、足浴など
- 清拭:入浴できない場合に、身体を拭いて清潔にする
- 更衣介助:着替えの介助
- 歩行介助:移動する際の歩行の介助
- 移乗介助:ベッドと車椅子間など、身体を移す介助
- 体位変換:褥瘡防止のために、ベッド上などで姿勢を変える介助
この他にも、点眼や軟膏の塗布、服薬の際に口に薬を入れる介助、爪切り、耳垢の除去などは、身体介護として扱われます。
また、特別な研修を修了した訪問介護員からは、たんの吸引などの一部の医療行為が提供されることもあります。
生活援助
生活援助とは、本人の日常生活に必要な家事を提供するサービスです。
見出しテキスト
- 調理:献立の提案、調理、配下善など食事の準備
- 掃除:居室やトイレなどの掃除
- 洗濯:衣類を洗う、干す、取り込む、たたむ
- 衣類の整理:タンスなどの衣類を整理する
- 被服の補修:ほつれた服を修理するなど
- 買い物:生活必需品を購入し、届ける
- 薬の受け取り:本人の代わりに薬を受け取り、届ける
通院等乗降介助
通院等乗降介助とは、通院のための移動において、車の乗降とその前後を支援するサービスです。
一般的には「介護タクシー」と呼ばれますが、介護保険が対象になっているのは、家から移動して車に乗る、病院に到着後、車から降りて病院の受付まで、になります。
つまり、輸送中は介護保険の対象にならず、介護保険分の負担に合わせて、タクシーの費用が別途必要になります。
ただし、輸送にあたる部分の費用は、一般的なタクシーと比べて安いところが多いです。
訪問介護では受けられないサービス
訪問介護では、介護職がサービスを提供します。
ですから、法律で許されていない医療行為などは受けられません。
また、生活援助においては、「利用者本人の日常生活に必要な家事の援助」となっているため、本人以外に対してや、日常生活に必ずしも必要とは言えないものについてはサービスを受けることはできません。
一部、例をあげておきます。
訪問介護では不可
- 医療行為
- 日常の掃除以外の掃除;大掃除、床のワックスがけ、窓のガラス拭き
- 日常生活に必要のない支援:庭の草むしり、ペットの散歩、来客対応、家具の修理
- 本人以外への支援:家族のための調理、掃除、洗濯など
- 病院等以外への外出支援:家族や友達の家に行く、遊びに行くなど
医療行為は、医師や看護師など、医療の専門職から提供されます。
その他の内容については、事業所によって「介護保険外サービス」として、事業所が独自に料金を設定して提供してくれるところもあります。
介護保険を利用して受けるサービスよりも費用負担は大きくなるケースが多いですが、必要時は相談してみてください。
訪問介護を受けることができる頻度
訪問介護は、基本的に要介護度によって定められている居宅サービス利用限度額の範囲内であれば、介護保険を使って利用することができます。
また、「2時間ルール」というものがあり、サービス提供については、2時間以上あけないといけない。あけない場合は1回のサービスとして捉える、というルールになっています。
ややこしいと思うので、利用する側の捉え方としては、1回のサービス終了後、基本的に2時間以上あけないとサービスが受けられない、と考えて良いでしょう。
訪問介護の費用について
訪問介護を利用する場合の費用の目安については、次のようになっています。
なお、単位を円に換算するにあたっては、地域性などにより10円〜11.40円まで幅があります。
利用者が負担する費用は、総額のうち原則1割負担(収入に応じて3割負担まで)となっています。

訪問介護を受けるためにはどうしたらいい?


「なるほど、身体介護、生活援助、通院等乗降介助によってサービスが分かれていて、それぞれ費用が設定されているんですね。では、実際に利用したいと思ったら、どうやって申し込めばいいんですか?ていうか、訪問介護事業所がどこにあるのか、どこがいいのか、全然わからないんですけど」
「一般の人は、事業所を探す、選ぶ方法や、どのようなルートでサービスを申し込めばいいのかなんてわかりませんよね。ですから、利用にあたっては、専門家の力を借りるのが通常です。詳しく見ていきましょう」

訪問介護受けるための条件
まず、訪問介護のサービスを利用するためには、要介護認定を受けている必要があります。
要介護認定とは、市町村により介護が必要との判断をしてもらうことです。
認定の申請をすると、認定調査が実施され「要支援1〜2」「要介護1〜5」「非該当」の8段階で結果が出ます。
このうち、訪問介護のサービスを利用できるのは「要介護1〜5」の認定を受けた方です。

「じゃあ、要支援の人はサービスを受けることができないの?」
「いえ、要支援の人は、介護予防訪問介護という名前で、訪問介護と同じ内容のサービスを受けることができます。ただし、要介護よりも元気な人になるため、1週間に1〜2回といった回数の制限が設けられています。あと、料金体系も異なります」

サービス利用までの流れ
具体的にサービスを受けるには、次のような手順が必要になります。
利用の手順
- 要介護認定申請
- 判定結果の通知
- ケアマネジャーの選定(介護支援専門員)
- 居宅サービス計画(ケアプラン)の作成
- 訪問介護事業所との契約
- サービス利用開始
要介護認定申請を市役所などにすると、認定調査員が自宅を訪問し、認定調査が行われます。
その後、申請から原則30日以内に結果が出ます。
この結果の有効は、申請時に遡ることになっています。
ですから、ある日突然介護が必要になって、すぐにでも訪問介護を使いたい、という場合でも、要介護認定申請をしてしまえば、介護保険で利用することができます。
次に、申請と並行してケアマネジャーの選定に移ります。
市役所では、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業者の一覧をもらうことができます。
希望がなければ、自宅近くの事業所を選ぶのがいいでしょう。
困りごとがあったときに、すぐに来てもらいやすいからです。
また、お住まいのエリアの地域包括支援センターに相談することで、居宅介護支援事業者を紹介してもらうこともできます。
ケアマネジャーが決まったら、ケアマネジャーが生活に必要な支援を提案してくれます。
その中で、利用者に適した訪問介護事業所を選定し、紹介、手配してくれます。
訪問介護事業所が決まったら、事業所と直接契約をし、サービス開始となります。
サービス事業所の評価
いざ、訪問介護のサービスを利用し、不満が出た場合、別の訪問介護事業所に変更することも可能です。
とはいえ、訪問介護事業所のサービスの良し悪しを評価する基準を持たない人も多いでしょう。
利用している事業所が良いかどうかは、どのように判断すればいいでしょうか。
訪問介護は、介護保険で料金が定められているので、料金の違いは基本的にありません。
サービスの内容についても介護保険で定められているため、基本的に同じです。
では、違いはどこで生まれるのでしょうか。
良し悪しを評価するポイントは、次の部分になります。
訪問介護事業所の評価
- 訪問の時間や取り決めたルールを守ってくれるか
- 依頼した内容をきちんと実施してくれるか
- 訪問介護員との相性
上記の部分で不満が出てくるようなら、まずは担当のケアマネジャーに相談してください。
改善要求を訪問介護事業所にしてくれます。
それでも改善されない場合は、ケアマネジャーに事業所を変更したい旨を伝えてください。
訪問介護とは?サービスの選び方や利用方法、料金について簡単に解説:まとめ

「訪問介護とはどのようなサービスなのか、料金や利用方法についてよくわかりました!」
「自宅で生活する上では、非常に重要なサービスになりますからね。いざ必要となったときに、利用できるようにしておいてください」

この記事のまとめ
- 訪問介護は、自宅で生活するために必要なサービスを提供してくれる
- 本人の日常生活に必要なサービスに限定される。その他、介護職は医療行為はできない
- サービスを利用するにあたっては、要介護認定が必要
- ケアマネジャーによって、訪問介護事業所の提案がある
- 希望すれば事業所の変更が可能。サービス内容や費用はどの事業所もほぼ同じ。あとは、接遇や誠実性、相性などにより判断
ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。