介護の知識・技術

訪問介護とは?サービスの選び方や利用方法、料金について簡単に解説

2022年8月27日

スタッフ

「訪問介護って、どんなサービスなんですか?どうやったら利用できるのか、費用はどれぐらいかかるのかも含めて、詳しく知りたいです」

「自宅で生活する要介護高齢者にとっては、訪問介護が支援の中心になりますね。詳しく説明しますね。」

施設長
こんな疑問を解決します

この記事の内容

訪問介護がどんなサービスか、また利用方法や料金について書いています。

こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、以前は訪問介護の管理者をしていました。

現在も、訪問介護事業所の運営コンサルタントをしています。

さて、介護が必要な高齢者の、自宅での生活を支援してくれる介護保険のサービスとして「訪問介護」があります。

名前ぐらいは聞いたことがある人という人は多いと思いますが、実際にどんなサービスか詳しく知らない、という人もいるのではないでしょうか。

訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、主に家の中で食事、排泄、入浴、着替えなどの支援を提供する「身体介護」や、調理、掃除、洗濯などの支援を提供する「生活援助」、そして通院等の支援をしてくれる「通院等乗降介助」からなります。

というわけで、今回は訪問介護とはどんなサービスか、利用方法や費用などについて詳しく解説します。

訪問介護とは?

では、訪問介護とはどんなサービスかについて見ていきましょう。

訪問介護とは、訪問介護員が自宅を訪問し、必要な介護を提供してくれるサービスです。

直接身体に触れて行う「身体介護」と、日常生活の家事を支援してくれる「生活援助」、通院の支援をしてくれる「通院等乗降介助」の3つのサービスを受けることができます。

詳しく見ていきましょう。

訪問介護を実施する介護職はどんな人

訪問介護で家に来てくれる人を、一般的にホームヘルパーや、ヘルパーと呼ぶ傾向がありますが、正式名称は訪問介護員になります。

訪問介護員は、原則として介護の資格を保持した者しかできません

訪問介護員に必要な資格

  • 生活援助従事者研修(生活援助のみ提供可能)
  • 介護職員初任者研修
  • 介護福祉士実務者研修
  • 介護福祉士

この他、旧制度の「ホームヘルパー1級」「ホームヘルパー2級」「介護職員基礎研修」でも、訪問介護員としてサービスを提供することが可能です。

施設などでは、現在のところ資格がなくても介護職をすることができますが、訪問介護員は、利用者により家の環境が違ったり、単独で訪問してサービスを提供しなければならないといった特性から、より高い専門性が求められるということで、有資格者じゃないとサービスが提供できないようになっているのです。

「利用する側も、資格を持っている介護職さんが来てくれることで、安心感がありますね!」

スタッフ

訪問介護で受けられるサービス

次に、具体的にどのようなサービスを受けられるのかについて見ていきましょう。

身体介護

身体介護とは、訪問介護員が、利用者の身体に直接触れて実施するサービスです。

身体介護の内容

  • 食事介助:食事を食べるなどの支援
  • 排泄介助:トイレの介助やおむつ交換など
  • 入浴介助:浴室での入浴、シャワー浴、手浴、足浴など
  • 清拭:入浴できない場合に、身体を拭いて清潔にする
  • 更衣介助:着替えの介助
  • 歩行介助:移動する際の歩行の介助
  • 移乗介助:ベッドと車椅子間など、身体を移す介助
  • 体位変換:褥瘡防止のために、ベッド上などで姿勢を変える介助

この他にも、点眼や軟膏の塗布、服薬の際に口に薬を入れる介助、爪切り、耳垢の除去などは、身体介護として扱われます。

また、特別な研修を修了した訪問介護員からは、たんの吸引などの一部の医療行為が提供されることもあります。

生活援助

生活援助とは、本人の日常生活に必要な家事を提供するサービスです。

見出しテキスト

  • 調理:献立の提案、調理、配下善など食事の準備
  • 掃除:居室やトイレなどの掃除
  • 洗濯:衣類を洗う、干す、取り込む、たたむ
  • 衣類の整理:タンスなどの衣類を整理する
  • 被服の補修:ほつれた服を修理するなど
  • 買い物:生活必需品を購入し、届ける
  • 薬の受け取り:本人の代わりに薬を受け取り、届ける

通院等乗降介助

通院等乗降介助とは、通院のための移動において、車の乗降とその前後を支援するサービスです。

一般的には「介護タクシー」と呼ばれますが、介護保険が対象になっているのは、家から移動して車に乗る、病院に到着後、車から降りて病院の受付まで、になります。

つまり、輸送中は介護保険の対象にならず、介護保険分の負担に合わせて、タクシーの費用が別途必要になります。

ただし、輸送にあたる部分の費用は、一般的なタクシーと比べて安いところが多いです。

訪問介護では受けられないサービス

訪問介護では、介護職がサービスを提供します。

ですから、法律で許されていない医療行為などは受けられません。

また、生活援助においては、「利用者本人の日常生活に必要な家事の援助」となっているため、本人以外に対してや、日常生活に必ずしも必要とは言えないものについてはサービスを受けることはできません

一部、例をあげておきます。

訪問介護では不可

  • 医療行為
  • 日常の掃除以外の掃除;大掃除、床のワックスがけ、窓のガラス拭き
  • 日常生活に必要のない支援:庭の草むしり、ペットの散歩、来客対応、家具の修理
  • 本人以外への支援:家族のための調理、掃除、洗濯など
  • 病院等以外への外出支援:家族や友達の家に行く、遊びに行くなど

医療行為は、医師や看護師など、医療の専門職から提供されます。

その他の内容については、事業所によって「介護保険外サービス」として、事業所が独自に料金を設定して提供してくれるところもあります。

介護保険を利用して受けるサービスよりも費用負担は大きくなるケースが多いですが、必要時は相談してみてください。

訪問介護を受けることができる頻度

訪問介護は、基本的に要介護度によって定められている居宅サービス利用限度額の範囲内であれば、介護保険を使って利用することができます。

また、「2時間ルール」というものがあり、サービス提供については、2時間以上あけないといけない。あけない場合は1回のサービスとして捉える、というルールになっています。

ややこしいと思うので、利用する側の捉え方としては、1回のサービス終了後、基本的に2時間以上あけないとサービスが受けられない、と考えて良いでしょう。

訪問介護の費用について

訪問介護を利用する場合の費用の目安については、次のようになっています。

なお、単位を円に換算するにあたっては、地域性などにより10円〜11.40円まで幅があります。

利用者が負担する費用は、総額のうち原則1割負担(収入に応じて3割負担まで)となっています。

「要介護の場合」2022年4月現在

訪問介護を受けるためにはどうしたらいい?

スタッフ

「なるほど、身体介護、生活援助、通院等乗降介助によってサービスが分かれていて、それぞれ費用が設定されているんですね。では、実際に利用したいと思ったら、どうやって申し込めばいいんですか?ていうか、訪問介護事業所がどこにあるのか、どこがいいのか、全然わからないんですけど」

「一般の人は、事業所を探す、選ぶ方法や、どのようなルートでサービスを申し込めばいいのかなんてわかりませんよね。ですから、利用にあたっては、専門家の力を借りるのが通常です。詳しく見ていきましょう」

施設長

訪問介護受けるための条件

まず、訪問介護のサービスを利用するためには、要介護認定を受けている必要があります

要介護認定とは、市町村により介護が必要との判断をしてもらうことです。

認定の申請をすると、認定調査が実施され「要支援1〜2」「要介護1〜5」「非該当」の8段階で結果が出ます。

このうち、訪問介護のサービスを利用できるのは「要介護1〜5」の認定を受けた方です。

スタッフ

「じゃあ、要支援の人はサービスを受けることができないの?」

「いえ、要支援の人は、介護予防訪問介護という名前で、訪問介護と同じ内容のサービスを受けることができます。ただし、要介護よりも元気な人になるため、1週間に1〜2回といった回数の制限が設けられています。あと、料金体系も異なります」

施設長

サービス利用までの流れ

具体的にサービスを受けるには、次のような手順が必要になります。

利用の手順

  • 要介護認定申請
  • 判定結果の通知
  • ケアマネジャーの選定(介護支援専門員)
  • 居宅サービス計画(ケアプラン)の作成
  • 訪問介護事業所との契約
  • サービス利用開始

要介護認定申請を市役所などにすると、認定調査員が自宅を訪問し、認定調査が行われます。

その後、申請から原則30日以内に結果が出ます

この結果の有効は、申請時に遡ることになっています。

ですから、ある日突然介護が必要になって、すぐにでも訪問介護を使いたい、という場合でも、要介護認定申請をしてしまえば、介護保険で利用することができます。

次に、申請と並行してケアマネジャーの選定に移ります。

市役所では、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業者の一覧をもらうことができます。

希望がなければ、自宅近くの事業所を選ぶのがいいでしょう。

困りごとがあったときに、すぐに来てもらいやすいからです。

また、お住まいのエリアの地域包括支援センターに相談することで、居宅介護支援事業者を紹介してもらうこともできます。

ケアマネジャーが決まったら、ケアマネジャーが生活に必要な支援を提案してくれます。

その中で、利用者に適した訪問介護事業所を選定し、紹介手配してくれます

訪問介護事業所が決まったら、事業所と直接契約をし、サービス開始となります。

サービス事業所の評価

いざ、訪問介護のサービスを利用し、不満が出た場合、別の訪問介護事業所に変更することも可能です。

とはいえ、訪問介護事業所のサービスの良し悪しを評価する基準を持たない人も多いでしょう。

利用している事業所が良いかどうかは、どのように判断すればいいでしょうか。

訪問介護は、介護保険で料金が定められているので、料金の違いは基本的にありません。

サービスの内容についても介護保険で定められているため、基本的に同じです。

では、違いはどこで生まれるのでしょうか。

良し悪しを評価するポイントは、次の部分になります。

訪問介護事業所の評価

  • 訪問の時間や取り決めたルールを守ってくれるか
  • 依頼した内容をきちんと実施してくれるか
  • 訪問介護員との相性

上記の部分で不満が出てくるようなら、まずは担当のケアマネジャーに相談してください。

改善要求を訪問介護事業所にしてくれます。

それでも改善されない場合は、ケアマネジャーに事業所を変更したい旨を伝えてください。

訪問介護とは?サービスの選び方や利用方法、料金について簡単に解説:まとめ

スタッフ

「訪問介護とはどのようなサービスなのか、料金や利用方法についてよくわかりました!」

「自宅で生活する上では、非常に重要なサービスになりますからね。いざ必要となったときに、利用できるようにしておいてください」

施設長

この記事のまとめ

  • 訪問介護は、自宅で生活するために必要なサービスを提供してくれる
  • 本人の日常生活に必要なサービスに限定される。その他、介護職は医療行為はできない
  • サービスを利用するにあたっては、要介護認定が必要
  • ケアマネジャーによって、訪問介護事業所の提案がある
  • 希望すれば事業所の変更が可能。サービス内容や費用はどの事業所もほぼ同じ。あとは、接遇や誠実性、相性などにより判断

ということで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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