
「介護職をしていてふと思ったんですけど、介護職として大切なことってなんですか?優しさ、思いやり、相手に寄り添うなど、精神的なところでは出てくるんですけれど、どれも抽象的な気がして。具体的に、プロの介護職としてこれが必須だ、というものがあれば知りたいです」
「介護が専門職であるために欠かしてはいけないのが、介護の目的と、その目的を達成するための手段になります。目的とは、自立支援、そして、手段とは介護家庭の展開です。さらに、それを実践していくためにいろいろな知識、技術、精神的な寄り添いが必要になりますね」

こんな疑問を解決します
この記事の内容
プロの介護職として大切なことについて書いています
こんにちは、せいじです。
介護業界に20年以上携わり、介護職、ケアマネジャー、施設長を経験しました。
現在は介護の研修の講師やコンサルタントの仕事をしています。
さて、介護の仕事は、利用者の日常生活を支援する仕事です。
しかし、ただ日常生活を支援するのではなく、専門性のある介護を提供しなければなりません。
専門性のある介護とはなにかというと、介護の目的である「自立支援」を行うことです。
そして、自立を達成するための、介護過程を実践していくこと、になります。
というわけで、今回はプロの介護職として、専門性のある介護を提供するために大切なこと、について書いていきます。
プロの介護職として大切なこととはなにか?

では、プロの介護職として、介護の専門職として欠かしてはいけない大切なことについて見ていきましょう。
まとめると、次のようになります。
見出しテキスト
- 介護の目的を忘れない
- 介護過程を実践し利用者の生活を支える
- 利用者への敬意、思いやり
- コミュニケーション力
- 気づき、気配り、心配り
- 自己研鑽
- 自己管理
それぞれ掘り下げていきます。
介護の目的を忘れない
プロとして絶対に欠かしてはいけない大切なこと、ひとつ目は介護の目的です。
介護の目的をわかっていないと、専門性のある介護はできないからです。
介護の目的は、自立支援です。
そして、自立支援とは、その人が求める生活(未来)を実現する支援ということになります。
自立支援と聞くと、日常生活を自分でできるようになってもらう支援だな、と思うかもしれません。
たしかに、介護の自立支援には、日常生活の行為を自立できるように支援する、という意味があります。
しかし、介護が必要な方の中には、自分で身体を動かすことができない人もいます。
そのような方に対しては、行動の自立ではなく、精神的な自律を支援することが介護職には求められます。
つまり、どんな生活がしたいかを、自分で決められるように支援するということです。
まとめると、介護職は、利用者が求める生活を自分で決められるように支援し、そして実際の生活をできるだけ自分でできるように支援していくということになります。
介護の目的の詳細については介護の定義や介護と介助の違いとは?をご覧ください。
介護過程を実践して利用者の生活を支える
介護の目的を達成するためには、介護過程の実践が必要になります。
きちんとした手順を踏んで行わないと、利用者が求める生活を実現することはできないからです。
プロの介護職は、介護過程を展開することによって、利用者の求める生活の実現に向けて支援していくんですね。
介護過程をまとめると、次のようになります。
介護過程とは
- アセスメント:利用者の現在と求める生活を知り、解決すべき課題を明確にする
- 計画の立案:課題を解決するための計画を立てる
- 実施:計画に基づいて支援を実施する
- 評価:計画通りに進んでいるか、その結果どうだったか評価する
まず、利用者の現在の状況と、求める生活を知って、その間にある解決しなければならない問題(課題)を明らかにします。
次に、チームで計画的に課題を解決するために、計画書を作ります。
そして、メンバー全員がこの計画書に基づいて、統一した介護を実施していきます。
実施したら、計画通りにできているか、求める生活に近づいているかを評価します。
この過程を繰り返し実践することが、介護に専門性をもたらすことになるのです。
利用者への敬意、思いやり
介護は、介護過程によって計画的に行うもの、と聞くと、介護に対して形式ばった冷たい印象を持つかもしれません。
しかし、そうではありません。
実践していく上で、利用者への敬意、そして思いやりが欠かせません。
介護職は利用者の日常生活を支援する仕事です。
日常生活を支援するということは、人生そのものを支援するということでもあります。
自分のことを考えて、敬意と思いやり、愛情を持って接してくれる介護職の介護と、仕事と割り切って接する介護職の介護では、支援を受ける利用者の自立に向けた意欲にちがいがあらわれます。
自分に対して愛情を持って接してくれる人の方が、より前向きになれますし、心の支えになりますよね。
つまり、介護職は、利用者の身体的な支援だけでなく、心を支える役割もあるんですね。
コミュニケーション力
良い介護をするためには、介護職と利用者の間に信頼関係が必要になります。
信頼できない相手に、自分の本音を言ったり、自分の人生に深く関わってもらうことはできないからです。
信頼関係を構築するためには、お互いに理解し合うことが必要になります。
理解の深まりが、信頼関係につながるからです。
そして、互いの理解を深めるためには、介護職にコミュニケーション技術が求められます。
コミュニケーション技術とは、相手を正しく理解する、そして、相手に正しく自分を理解してもらう技術になります。
気づき、気配り、心配り
介護職として重要な能力として、気づきがあります。
利用者のちょっとした変化やサインに気づくことが重要なのです。
たとえば、脳梗塞の前兆があらわれていたとします。
介護職がその前兆に気づいて、すぐに医療職につなぐことができれば、利用者への身体の影響は最小限で済むでしょう。
しかし、前兆を見過ごして、対応が遅れると、重篤な後遺症が残ることになるかもしれません。
ですから、気づきの良し悪しは、利用者の人生を変えてしまいかねないほど重要になります。
また、常に広い視野を持ち、利用者の様子を把握することも大切です。
利用者のリスクや困りごとに対して、気配りして把握しなければならないからです。
そして、先回りして対応する心配りが求められるのです。
自己研鑽
介護の仕事は専門職ですから、常に自己研鑽に励まなければなりません。
介護職の知識、技術によって、利用者のその後の生活、つまり人生が変わってくることになるからです。
知識と技術を高めていくために、資格の取得をはじめ、研修会に参加したり、本を読んだりといった方法があります。
そして、勉強した内容を日々の仕事の中で実践し、試行錯誤していくことで、着実に成長していくことができます。
自己管理
介護の仕事は、身体的にも、精神的にも負担のかかる仕事です。
ですから、心身ともに体調の自己管理が大切になります。
体調が悪いと、注意力が散漫になって気づきが低下したり、介助にミスが起こったりする可能性が高くなるからです。
日々、身体と精神のメンテナンスを行い、ベストな形で仕事ができるように努めましょう。
プロの介護職として大切なこととはなにか?:まとめ

「なるほど、具体的になにをしなければいけないのかがよくわかりました。プロの介護職として、精進していきたいと思います!」
「介護職は専門性が低い、なんて言われることがありますが、それは事実ではありません。利用者の自立を支援する立派な専門職です。専門職であるためには、自己研鑽が欠かせませんね。がんばっていきましょう。」

この記事のまとめ
- 介護の目的を忘れない
- 介護過程を実践し利用者の生活を支える
- 利用者への敬意、思いやり
- コミュニケーション力
- 気づき、気配り、心配り
- 自己研鑽
- 自己管理
ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。