
「サービス提供責任者ってどんな仕事か知りたいです。今日、初任者研修でサービス提供責任者っていう仕事があるって聞いたんです。どんな仕事なんですか?どうやったらなれますか?」
「サービス提供責任者は、訪問介護を実施するにあたって必須で配置しないといけないスタッフになります。サービスや訪問介護員をマネジメントする役割があります。どうすればなれるかも含めて、サービス提供責任者について詳しく見ていきましょう」

こんな疑問を解決します
この記事の内容
訪問介護事業所に必須のサービス提供責任者とはどんな仕事か。どうやったらなれるか、またどんな人に向いているか、その魅力などについて書いています
こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、訪問介護事業所の管理者をしていたこともあります。現在はコンサルタントとして、訪問介護事業所の開設や運営の支援をしています。
さて、訪問介護に必須の人員として「サービス提供責任者」があります。
サービス提供責任者とは、かんたんにいうと事業所の窓口役になります。
具体的には、ケアマネジャーやその他のサービスと連携し、利用者、家族に対して必要なサービスを提案、そして訪問介護員から適切なサービスが提供されるよう管理を行う、といった仕事になります。
サービス提供責任者になるためには、実務者研修以上の修了、取得が必要になります。
というわけで、今回は訪問介護事業所に必要な「サービス提供責任者」の仕事内容や資格要件などについて詳しく解説します。
サービス提供責任者とは?

では、サービス提供責任者とは、どういった仕事なのかについて見ていきましょう。
サービス提供責任者とは、介護保険法によって訪問介護事業所に必ず配置しなければならない人員です。
訪問介護事業所の窓口的な役割を担います。
また、自事業所のサービスが適切に行われているかどうか、必要時は訪問介護員の指導を行うなど、サービスの質に大きく影響してくる立場でもあります。
サービス提供責任者の仕事内容
サービス提供責任者の仕事内容をまとめると、次のようになります。
サービス提供責任者の仕事内容
- サービスの連絡調整、会議への参加
- 利用者、家族との面談
- 訪問介護計画の作成
- 同行訪問
- 訪問介護員(ヘルパー)の教育、指導
それぞれ掘り下げていきます。
サービスの連絡調整、会議への参加
訪問介護事業所は、基本的にケアマネジャーからサービスの依頼を受けます。
なぜなら、ケアマネジャーが利用者、家族から相談を受け、必要なサービスの提案をする役割になるからです。
そのケアマネジャーから、サービスの依頼を受ける訪問介護事業所の窓口がサービス提供責任者です。
そして、サービスを提供する利用者の情報をケアマネジャーからもらったり、サービスに入る訪問介護員の手配をするなどして、サービスを提供するのに必要な準備を行います。
ケアマネジャーは、サービスを開始する際や、サービスの見直しが必要な際は「サービス担当者会議」と呼ばれる会議を実施します。
サービス担当者会議とは、利用者にサービスを提供している各事業所の担当者を集めて、サービスについて話し合う会議です。
この会議に参加するのも、基本的にはサービス提供責任者の仕事になります。
サービス開始後の日々の連携についても、サービス提供責任者がケアマネジャーなどとやりとりをしていきます。
利用者、家族との面談
サービス提供責任者は、サービス提供の開始前、そして開始後も、定期的に利用者宅を訪問して利用者、家族と面談をします。
そして、利用者の状態やその変化、サービスに対する満足度や希望などを聞き取ります。
それらの情報をケアマネや訪問介護員と共有し、必要に応じてサービスの見直しを図ります。
訪問介護計画の作成
訪問介護のサービスを提供するには、必ず訪問介護計画書が必要になります。
なぜなら、訪問介護は訪問計画書に基づいてサービスを提供しなければならない、というルールが介護保険にあるからです。
その訪問介護計画を作る役割が、サービス提供責任者になります。
訪問介護計画を作成するためには、実務者研修で勉強する「介護過程の展開」の理解が必要になります。
同行訪問
訪問介護のサービスを実際に提供するのは、事業所に所属している訪問介護員、つまりヘルパーになります。
サービス提供責任者は、最初のサービス実施時や、そのほか必要時に訪問介護員と同行し、自宅を訪問します。
そして、サービスがきちんと提供されているかどうか、変更の必要性がないかどうかを確認していくのです。
さらに、必要時には、ヘルパーに対して指導や助言を行っていきます。
ヘルパーの教育、指導
同行時以外でも、ヘルパーに対して教育や指導を行うのが、サービス提供責任者の役割になります。
サービスの内容が悪いと、事業所の人気が低下し運営にもかかわってきます。ですから、一定以上の能力を持つ介護職を育成するために、教育、指導は重要な役割になります。
サービス提供責任者の資格要件
サービス提供責任者は、介護支援専門員のような資格の名前ではなく、訪問介護事業所に必要とされる役割を指します。
ただし、だからといって誰でもなれるわけではなく、職務を担うにあたって次のような資格要件が定められています。
サ責に必要な資格
- 実務者研修
- 介護福祉士
これらの資格がないと、サービス提供責任者になることはできません。(厳密にいうとなることはできますが、介護報酬が減額されます)
介護福祉士を取得するためには、3年以上の実務経験が必要であったり、専門学校に年単位で通わなければなりません。
しかし、実務者研修であれば、未経験、無資格でも1〜3ヶ月で取得することが可能です。ぜひ取得して、サービス提供責任者を目指してみてください。
-
介護の資格なし、無資格から介護福祉士を取得する方法
こんな疑問を解決します こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、現在は独立して介護の講師やコンサルタントん仕事をしています。介護福祉士試験対策講座についても、複数の学校から依頼を受けて担当 ...
続きを見る
サービス提供責任者に向いている人
サービス提供責任者になるための資格要件などを見てきましたが、実際にサービス提供責任者の仕事をするに当たっては、向き不向きがあります。
どんな人が向いているか、まとめると次のようになります。
サ責に向いている人
- 一般の介護職以上にステップアップしたい人
- 人をまとめていく役割を担いたい人
- 事業所や自法人以外の人と交流を図りたい人
- 制度についての理解を深めたい人
サービス提供責任者をするためには、訪問介護員としての能力だけでなく、マネジメント能力や、事業においてのコミュニケーション能力、計画書などの書類関係の業務をこなしていくための文章力などが求められます。
逆にいうと、サービス提供責任者として働くことによって、これらの能力が向上します。
また、人脈が広がったり、制度の理解が深まるといった、自身のスキルアップにつながる環境とすることができます。
サービス提供責任者の魅力は?

ここからは、サービス提供責任者の魅力について見ていきましょう。
サービス提供責任者はヘルパーより給料が高い
サービス提供責任者の平均給与は、327,020円になっています(令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果より)
サービス提供責任者でない訪問介護員(ヘルパー)の平均給与が296,770円ですから、その差は約3万円ほど、年間では単純計算で36万円の差になります。
給料がたくさんもらえるのは魅力ですよね。
介護職としてのスキルアップになる
サービス提供責任者は、ヘルパーを教育したり、管理したりする役割があります。ですから、介護職以外の能力として、指導力やマネジメント能力が求められます。
つまり、キャリアアップになります。
キャリアを高めていくことで、新しい仕事の選択肢が広がっていくことにもつながります。
サービス提供責任者とはどんな仕事?なるために必要な資格は?:まとめ

「なかなか大変そうな仕事内容ですが、魅力もいっぱいですね!」
「そうですね。自分の力を高めるためにも、サービス提供責任者、ぜひ目指してみてください」

この記事のまとめ
- サービス提供責任者は、訪問介護員をマネジメントしたり、ケアマネジャーや利用者、その家族と連携しながらしていく仕事
- 訪問介護事業所には必ず配置が必要とされている
- サービス提供責任者になるためには、資格要件がある
- 給料が上がり、スキルアップ、ステップアップになる仕事
ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。