介護の知識・技術

介護職は大変?きつい仕事?そう言われる理由とは?

2022年8月19日

スタッフ

「これから介護の仕事をしようと思っているんですけれど、介護職は大変な仕事、きつい仕事って聞くんです。そう言われる理由ってどんなところにあるんですか?」

「介護職ってマイナスイメージがありますよね。「きつい、汚い、給料安いと言った3Kの仕事だよ」なんて声が聞かれます。今回はその理由について見ていきましょうか」

施設長
こんな疑問を解決します

この記事の内容

介護職が大変な仕事、きつい仕事と言われる理由について書いています。また、解決方法、対処方法についても書いていますので、ぜひ最後までご覧ください。

こんにちは、せいじです。介護業界に20年以上携わり、現在は人材定着、チームワーク向上の研修や、コンサルタントとして事業所に関わっています。

さて、一般的なイメージとして、また実際に介護職をしている人からも、介護職は大変な仕事、きつい仕事という声が聞かれます。

その理由とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

介護の仕事がきつい仕事とされる理由は、人間関係のストレス、不規則な勤務形態や人手不足などによる労働環境、仕事の内容が、身体的にも精神的にも重労働であるにも関わらず賃金が低いこと、さらには、サービスを提供する相手である高齢者との関係構築に苦労すること、そして、法人、施設の方針の理解が困難であることがあげられます。

今回はこれらの理由について掘り下げて見ていきたいと思います。

また、後半では、きつさ、大変さへの対処方法、解決方法についても書いています。ぜひ最後までご覧ください。

介護職は大変?きつい仕事?そう言われる理由とは?

では、介護職は大変、介護はきつい仕事、と言われる理由について見ていきましょう。

まとめると、次のようになります。

介護職が大変・きつい理由

  • 人間関係によるストレス
  • 労働環境の問題
  • 給料が低い
  • 仕事の内容がきつい(肉体的、精神的な負担が大きい)
  • 利用者との関係構築が大変
  • 法人施設の方針の理解がむずかしい

それぞれ掘り下げていきます。

人間関係によるストレス

介護職が大変な理由には、人間関係によるストレスがあります。

どの職場でも人間関係によるストレスは大なり小なりあると思いますが、介護職は特に人間関係の問題が起こりやすいと言えるでしょう。

人間関係の問題が起こりやすい理由としては、次のようなことがあげられます。

人間関係がむずかしい原因

  • 職員の年齢層が幅広い
  • 転職組が多い
  • 年齢と経験値が比例しない
  • 客観的な評価がむずかしい仕事内容

介護職同士の人間関係の構築が難しい理由のひとつは、幅広い年齢層にあります。もっとも年齢層が広い事業所では、10代〜70代までがいっしょに働いています。

とはいえ、他の仕事でも、幅広い年齢層がいっしょになって働く環境は少なくありません。

どうして介護職の場合、特に問題となるのでしょうか。

それは、他の仕事から転職して介護の仕事に就く人が多いからです。

転職者が多いと言うことは、仕事に対する価値観に差が出ることになります。

なぜなら、会社によって、それぞれ仕事のやり方や考え方といった文化がちがうからです。

ですから、職員によって、根本的な仕事に対する当たり前が異なることになります。

この当たり前を統一していくことが難しく、人間関係の摩擦を起こしやすくする原因のひとつになるんですね。

また、転職して入ってくるということは、年齢とポジションの逆転現象が起こりやすいんですね。つまり、10〜20代のスタッフが30代〜70代のスタッフの上司や先輩になるといったケースが少なくないのです。

30〜70代の方の中には、以前の職場で管理職を経験している人もおられます。今まで上の立場から指示を出していた年齢層から、逆に指示、指導される立場になるのを受け入れるのは、わかっていてもなかなか難しいものです。

逆に、若い上司も指導しにくいところがあります。ですから、どうしても関係性を構築するのが難しくなるんですね。

他にも、介護職は、介護職としての仕事の成果を、客観的に評価するのが難しいという問題があります。なにが正解かという基準が明確にないからです。

たとえば、営業の仕事であれば、売上や契約の件数など、数字をもって評価ができますよね。数字は客観的な評価の最たるもので、非常にわかりやすいです。

しかし、介護職が良い介護をしているかどうかは、数字で表すことができません。

ですから、なぜ自分があの人よりも評価が低いんだ、という不満から、職場全体の人間関係が悪化してしまうことが多いのです。

人間関係のストレスは、仕事自体をつらいものにしてしまいます。なぜなら、仕事の大変さ、きつさは、主観的なところによる影響が大きいからです。

たとえば、同じ仕事量であっても、人間関係がよかったら楽に感じるものが、悪いと何倍も大変に感じるでしょう。

その結果、介護の仕事は大変、きついという話しになってしまうんですね。

労働環境の問題

労働環境の問題も、介護の仕事を大変にしている理由のひとつです。労働環境による大変さとしては、次のようなことがあげられます。

労働環境による大変さ

  • 人材が不足している
  • 生活が不規則になりやすい
  • 拘束時間が長い(夜勤)

介護の仕事は、慢性的に人材が不足しています。人が足りないということは、1人1人の介護職への負担が大きくなります。負担が大きくなると、精神的な余裕もなくなります。

ですから、どうしても仕事がきつく感じてしまうわけです。

また、介護の仕事は、生活が不規則になりやすいです。シフト制で日々出勤時間、退勤時間が変わるからです。介護の施設で働いている人は避けて通れない問題ですね。

施設に入所されている高齢者の生活は、24時間365日続いていきます。介護はその生活を支える仕事になるため、24時間すべてにおいて必要な職員数を確保しなければなりません。

1人の職員が、日によって早朝から夜勤までをこなすわけです。朝早くから夕方までの日もあれば、朝はゆっくり、夜は遅いという日もあります。そこに夜勤も加わり、一定の生活リズムを持てなくなるのです。

特に夜勤は、業務中に仮眠が取れたとしても2時間ぐらいですし、熟睡できるわけでもないため、どうしてもリズムが崩れてしまいます。

生活リズムが崩れると、疲れも取れにくくなるため、仕事がきつく感じるのです。

その夜勤ですが、2日分の勤務時間を連続して働く形になっている事業所が多いです。つまり、拘束される時間が非常に長くなります。

このあたりもきついなと思うところでしょう。

仕事内容がきつい(体力的、精神的な負担)

介護は肉体労働、と言われることがあります。寝たきりなどの人に対して、身体を支えたり、時には持ち上げたりといった力仕事が多いからです。

また、利用者の精神的な満足を満たす仕事でもあるため、提供する側としては精神的なストレスを抱えることも少なくありません。

なぜなら、自分の感情をコントロールして、利用者の気持ちをに寄り添わないといけないからです。

介護職は、自分の価値観とは違う考え方を受け入れなければならない場面が少なくありません。ともすれば、高齢者のただのわがままを聞かされているように感じることもあるでしょう。

認知症を患っている場合は、理不尽と感じるような言動を受けることもあります。

このように、介護職は感情のコントロールを必要とする場面が非常に多いんですね。

ですから、精神的なストレスを感じやすいのです。

給与が低い

介護の仕事は、仕事の内容に給料が見合っていない、と感じている人が多いです。そして、労働量に見合った給料がもらえていないと感じることは、精神的なきつさにつながります

一般的な仕事の年収に比べて、介護職の年収が低いのは事実です。負担の重い仕事ということも相まって、余計にきつい仕事と感じるんですね。

また、給与の低さは将来への不安にもつながります

将来への不安を抱えながら仕事をすることは、仕事への意欲を低下させてしまうことにもつながります。

高齢者との関係構築が大変

介護を受ける高齢者は、介護を提供する介護職よりもずっと年齢が上の人たちです。介護職と高齢者の間には、大きな世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)が存在します。

価値観の違う世代間で理解し合うのは大変、と思う人もいるでしょう。

法人、施設の方針の理解が難しい

往々にして、法人、施設の方針と、現実の施設にはギャップがあります。法人、施設が求める理想と、現実の差に対して、職場に不満やストレスを感じる介護職も多いですね。

それが、介護の仕事をきつく感じさせる要因になることがあります。

介護の仕事を続けるために必要なこと

スタッフ

「なんか、ほんと大変な仕事だなぁと思います。やっていく自信がなくなってきました・・・」

「あら・・・。こころが折れてしまいそうですね。では、ここからは、介護の仕事を続けていくために必要なことについて見ていきましょう。」

施設長

介護職は経験を積むことによって、資格の取得などさらなるスキルアップが可能になる仕事であるため、長く続けることが強みになります

相談できる上司、先輩を持つ

大変できつい介護の仕事は、ストレスが溜まります。そんなとき、相談できる上司、先輩がいれば、心の支えになりますよね。

親身になって考えてくれる、そして自分が心を開くことができる上司、先輩を作りましょう。

もし、事業所にそのような人を作ることが難しいようなら、友人や家族でもかまいません。

どうしても、相談できる人がいない場合は、紙に書き出してみましょう。

殴り書きでもいいので、思いつく限り書き出してください。

自分の外に出してしまうことで、精神的に楽になります。

また、書き出したものを客観的に見ることで、実は大した問題ではなかったり、解決策が見えてくることもあります。

とにかく、自分の中で溜め込まないようにすることが大切です。

施設、事業所を変える

働いている事業所で相談できる上司、先輩がいて、具体的に問題が解決していけたらいいですが、もちろん、それができる職場ばかりではありませんよね。

上司、先輩との相性もあるでしょう。

わかってくれそうな上司、先輩がいない、人間関係が悪すぎてつらい、そう感じる人は、職場を変えるのも手です。

環境を変えることで、もっと働きやすい職場、よい上司、先輩に出会える可能性があるからです。

介護は人材不足の業界です。求人はたくさんあるため、その利点を活用して少しでも良い職場を手に入れられるように行動してみてはどうでしょうか。

資格を取るまで我慢する

職場を変える際に有利、不利となってくるのが資格です。上位の資格を持っているとか、複数の資格を持っていることは、転職の際に有利になります。

無資格よりも初任者研修、初任者研修よりも実務者研修、そして介護福祉士といった資格を持っているほうが、より自分の条件に合った形で仕事がしやすくなります

持っている資格によって資格手当を出している事業所も多いですからね。

転職をするにあたっては、資格を取るまで我慢して、それから長く続けられる環境に移るというのもいいでしょう。

また、先に目標を持っておくと、目の前の問題がそれほど気にならなくなる、という効果もあります。

もちろん、今の職場に我慢できる余地があるのであれば、ということです。

介護職は大変?きつい仕事?そう言われる理由とは?:まとめ

スタッフ

「結局、きつい、大変って自分の受け取り次第ですものね。楽しければ、大変と感じないですもの」

「そうなんですよ。いかに仕事を楽しめる環境を作るか、精神状態を作るかが重要ですね」

施設長

この記事のまとめ

  • 介護職がきつい、大変と感じる理由は複数ある
  • きつい、大変は主観で感じる。楽しく感じる環境、精神状態を作ることが重要
  • 長く続けることで資格取得やスキルアップができ、自身の環境も改善されていく

ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

  • この記事を書いた人

せいじ

介護のやりがい・魅力、介護職の困りごと解決、その他介護を含む福祉に関することがらについて発信しています。【経歴】大学卒▶︎アパレル関係▶︎介護職▶︎ケアマネ▶︎施設長(老人ホーム)介護業界20年【現在】2019年独立/介護関連の講師・介護コンサルタント・居宅介護支援事業所運営

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